援助交際を受諾した若い未亡人のページ1

31歳になる三浦香奈が重なる悲劇に見舞われたのはうっとうしい雨が続いていた6月の中旬でした。

香奈が勤めている銀座の高級宝飾店に電話が入り、医薬品卸会社で営業員をしている香奈より6歳年上の夫の幸一が営業活動中に車事故を起こし、救急車で病院に搬送されたと知らされたのでした。
香奈は会社に早退の許可を貰い、病院に駆けつけたのですが、香奈の望みに反し、夫が死亡したと告げられたのでした。


香奈にもう一つ哀しい知らせが届いたのは夫の死から6ヶ月後でした。
香奈の故郷の石川県で一人暮らしをしていた実母が子宮頸部腺癌と診断され、入院が必要になったのでした。


香奈は一軒家を購入したばかりで、夫が死亡したことで夫の収入が途切れることになった香奈にかなりきつい住宅ローンの支払いが毎月のしかかってきていたのでした。

入院しなければならない母の手助けをする余裕が無く、香奈は毎日途方に暮れていたのでした。
加えて、脳梗塞を患って右半身に麻痺が残っている祖母の面倒を見られなくなることも香奈には大きな心配であり、苦痛でもあったのです。


香奈が勤めている宝飾店の副社長に夕食に誘われたのはそんな時でした。

副社長の宇佐美剛志は社長の息子で、いずれはこの宝飾店の社長を継ぐ、金には不自由しない恵まれた38歳の男です。


「香奈ちゃん、少しは落ち着いたかな?」

銀座の高級な寿司店の暖簾をくぐり、カウンターに隣り合わせて腰掛けると副社長の宇佐美剛志が最初に口にした言葉でした。

飛びぬけた美人で、申し分のないスタイルをした香奈ですが、それを鼻にかけるようなことは一切無く、むしろへりくだった物腰が社員に好かれ、年下の社員からも香奈ちゃんと呼ばれて慕われていたのでした。
副社長の宇佐美剛志は会社では香奈を名字で呼んでいるのですが、二人だけになった今夜は香奈ちゃんと名前で呼んだのでした。

夫の葬儀に参列してくれたことから、香奈が未亡人になっていることは副社長の宇佐美剛志は先刻承知しており、そのことを気遣ったのでした。

「ええ、何とか・・もう6ヶ月になりますから・・・」

「大変なことになってしまったね、可哀想に・・・それから、お母さんが入院したんだって?」

母が子宮頸部腺癌と診断されたショックを抑えきれず、香奈が同僚に話したのが副社長にも伝わっていたのでした。

「ええ、入院したんです・・・」

「癌だって聞いたけど、本当なの?」

「ええ、そうなんです・・・」

「やっぱり、そうか、可哀想になぁ・・・でも医学は進歩しているから、きっと全快するよ・・・今や癌も一昔前ほど怖い病気じゃなくなっているし、重量子線癌治療とか言う高度な医療法もあるし、大丈夫だよ・・・」

副社長が励ましてくれるのが嬉しい香奈ですが、治療費や入院費も心配になるのでした。

「そうですよね、治りますよね・・・」

香奈は母の癌が治療できることを信じ、希望的に考えたいのでした。

「うん大丈夫だよ、治療費のことで心配があるのなら私に言ってくるように、出来るだけの支援をするからね・・・最先端の治療を受けるべきだし、その費用が必要なら私が面倒見るから・・・」

自分の母の治療費までを面倒見てくれると言う副社長の言葉に香奈は胸が詰まるのでした。
と、共になぜそこまで副社長が自分のことに親身になってくれるのか、香奈は有り難く思いながら不思議にも思うのでした。


寿司店での食事が終った後、香奈は副社長からバーへ誘われたのですが、これは丁重に断ったのでした。
それではと副社長にデザートを楽しもうと喫茶店に誘われ、香奈は今度は断れなかったのでした。

寿司店で口にした日本酒が効いて来て香奈は体に熱さを感じながら副社長の後に続いて近くの喫茶店へ向かったのでした。

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