居酒屋で出合った離婚直後の女のページ1

外資系企業の大阪支社に努めている滝田剛一が東京本社の会議に出張した日の夜は居酒屋で夕食を兼ねた食事を楽しむのが常だった。

今回も二日がかりの出張で、夜の7時にはいつもの居酒屋を訪ねたのでした。
その居酒屋はとても人気のある居酒屋で、7時と言う早い時間にも関わらず、カウンター席も満杯、残っていた座席は4人掛けのテーブル一つだけでした。

「お客様が見えたら合い席をお願いします」

若い男性店員に事前に断られて4人掛けのテーブルに案内されたのでした。

生ビールよりも瓶ビールの方が好きな剛一は瓶ビールを注文し、3種類の魚料理を注文して飲み始めたのでした。

その直後に、先ほどの若い男性店員から合い席をお願いしますと告げられ、剛一と年恰好が同じぐらいの二人連れの女性客が案内されて来たのでした。

二人の女性はどちらも甲乙つけ難い中肉中背の美人で、28歳の独身男の剛一の気持ちが弾むのでした。

「合い席させていただきます。宜しいでしょうか?」

二人連れの女性のうちの薄い空色の半袖ワンピースを着た女性が剛一に声を掛けました。
「どうぞ、どうぞ」

剛一は美人の二人と合い席できることに嬉しくなりながら愛想良く返事したのでした。

薄い空色の半袖ワンピースを着た女性は晴れやかな顔をしているのですが、もう一人の薄いピンク色の素地に花柄がプリントされた半袖ワンピースの女性の顔は曇っているのでした。

剛一の対面に腰掛けた二人の女性は暫く言葉を交わすことなく、剛一と同じ瓶ビールを注文したのでした。

ビールが届けられると、二人の女性は言葉を発することなくグラスを合わせて飲み始めました。
顔を曇らせていた女性はグラス一杯のビールを一気に飲み干してしまい、自分でまたグラスにビールを注いだのでした。

顔を曇らせた女性の豪快な飲みっぷりに剛一は感心しながら女性が何か大きな問題を抱えていることが容易に想像出来るのでした。


「祐美、ちょっとペースが速いわよ・・・」

祐美と呼ばれた顔を曇らせた女性がまたビールを飲み干した時、連れの晴れやかな顔をしている女性が嗜めました。

「いいの、今日は飲むの・・・久美子も飲んでよ・・・」

裕美と言われた女性がまた自分のグラスにビールを注ぎ、久美子と呼んだ女性のグラスにもビールを注ぎました。

祐美がビールを追加注文し、メニューで料理を選び始めました。

祐美が久美子と相談しながら注文した料理の量は多く、運ばれて来た料理でテーブルが一杯になり、剛一が追加で注文する料理の置き場所が無くなりました。


「祐美、ゆっくり飲もうよ、がぶ飲みすると酔っ払うし、体に良くないよ・・・」

飲むペースの速い祐美をまた久美子が嗜めました。

剛一にも祐美が何か大きな問題を抱えていることが分かり、この年頃の女性が抱える問題は男女の問題に違いないと思うのでした。


「あんな男、諦めな、裕美・・・」

久美子が声を抑えて言いましたが、剛一の耳には入ったのでした。

やっぱり、男と女の問題を抱えていることが分かり、剛一は納得し、裕美と呼ばれた女性に同情するのでした。

「もう諦めているわよ、だけど腹が立つのよ」

祐美が怒りを抑え切れないと言った語調で吐き捨てるように言いました。

「祐美の気持ちは分かるけど、あの男の性分が早く分かったのは良かったのよ、祐美にまだ子供が出来ていなかったことが幸いなのよ・・・祐美に子供が出来ていたら、簡単に別れることが出来ないかも知れないでしょ・・・子供が出来る前で良かったのよ・・・」

久美子の慰め方から、結婚していた祐美が何かの事情で、離婚したのだと言うことが剛一にも分かりました。
二人の女性の会話から、祐美の結婚相手が不倫をしたのが離婚の原因に違いないと剛一は想像するのでした。

「こんな可愛い祐美と結婚していながら、不倫するなんて、とんでもない男よ、あの男の本性が早く分かって良かったのよ、裕美・・・」

「それは分かってるよ、早く分かって良かったと思う、だけど腹が立つじゃない、私を裏切ったのよ」

「そうよね、それは許せないわねぇ・・私も彼が裏切ったら絶対に許さないわぁ・・・」

「そうでしょ、許せないでしょ?だけど具体的に仕返しをする方法が無いのよね・・・離婚するだけでは仕返ししたとは言えないもん、この腹立たしさは離婚しただけで収まらないわよ」

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