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妻と妻の妹29歳との同居生活-p1

内科医をしている31歳になる真一は妻の真帆と夫婦水入らずの幸せな生活を送っていました。1月中旬の寒い日曜日の午後、真一達のもとへ妻の妹の恵美が訪ねて来たのです。

「私、離婚しちゃったぁ・・・東京で仕事を見つけるまで、お兄さんのところに置いてぇ・・お願い・」
真一と真帆が迎えに出ると、恵美は顔を曇らせることもなく、あっけらかんとして言いました。
「ええ、恵美ちゃん!離婚したの?お姉ちゃんにも何も言わずに・・・急に驚かさないでよ・・・・」
真帆が目を丸くし、驚きを隠せないように言いました。
「お父さんとお母さんにも何も言わずに離婚したの・・・思いとどまるように言われるのが分っていたから、さっさと離婚届を出したの・・・あんな男のそばにいるのはもういや・・絶対にイヤ・・」
恵美の顔付きががとげとげしいものに変わりました。

「先ず上に上がりなさいよ・・・」
真一が促し、リビングに招き上げました。

真一が医学部の4年生だった時に、東京で大学生活を送っていた4年生の真帆と2年生だった恵美と知り合い、その後3人での交際が始まったのでした。真帆も恵美も石川県生まれの、色白のスラリとした美人で、真一はどちらも好きになりましたが、真一は姉の真帆と結婚したのでした。

恵美は石川県の温泉旅館の跡取り息子に見初められ、24歳で結婚したのでした。


リビングのソファーに腰掛けると、旅館で働く22歳の女中に主人が手を付け、妊娠させたことが離婚の原因だと恵美は説明しました。

「恵美ちゃんの旦那は、その女中に子供を堕ろすように言わないの?」
「うん、子供を産んで欲しいと言うの・・・多分お義母さんの言いつけだと思うんだけど・・・・」
「そんなぁ、そんなことって無いわよ・・・恵美ちゃんには子供が出来なかったの?」
「うん、出来なかったの・・・・・悲しいけど、私、子供が出来ない体なんだって・・・・」
「お医者さんにそう言われたの・・・・」
「うん、大学病院にまで行って、診て貰ったんだけど・・原因不明なんだって・・・」
「治療の方法は無いの・・・」
真帆が納得できない表情で聞きました。
「私が不妊症だと分ってから、お義母さまの態度が一変したのよ・・・私に明らかに意地悪をし始めたし、辛くあたる様になったのよ・・・・」
「我慢できないほどだったの・・・・」
真帆の顔が苦しそうに歪みました。
「うん、きつかったよ・・・跡継ぎが埋めない女には用が無くなったのよ・・・」
「淳一郎さんはどうだったの?」
真帆が責めるような口調で問いました。淳一郎とは恵美が結婚した相手で、いずれは温泉旅館を継ぐ長男です。
「あの人はお義母の言いなりだから、私への愛も冷めてしまったんでしょう・・・若い女中に子供を身篭らせるんだから・・・」
「恵美ちゃんと言う奥さんが居るのに、女中に子供を産ませるなんて許せないよ・・・」
姉の真帆が憤懣やるかたない表情で言いました。

「お姉ちゃんに言わなかったのは悪かったけど、私はこれが一番良いと思うよ、別れるのが・・」
「恵美ちゃんが一番良いと思う道を選択したのであれば・・・・それで良いと思うけど・・・子供の産めないなんて、可哀想ねぇ、恵美ちゃんは・・・・」
「いいんだよ、私はもうふっきれてるんだから・・・それより、お兄さんもお姉ちゃんも私を暫くここに居させてね、お願い・・・」
「それはいいけど・・・ねぇあなたいいでしょう・・・・」
真帆は同意を促すように真一に聞きました。

真一夫婦が住んでいる家は父から相続した広い庭付きの一軒家です。8LDKの平屋建てで、恵美が一緒に住むのに何の不都合もありませんでした。
真一の父は産婦人科医で、以前はこの家を病院にしていましたが、10年ほど前に少し離れたところに5階建てのビルを建て、1階を受付けと診察室、2階を産婦用の入院室として使用しているのです。
真一の両親はそのビルの最上階の5階を住居にしています。夜中などに産気づいた妊婦を迎えるのに便利だからです。真一はそのビルの3階を借りて内科医院を開業しているのです。

真一の父が実家を産婦人科医院として使っていた関係で、産婦用の入院室が5部屋有りましたが、大掛かりな内装改修工事を行い、今はかなり広い住居として真一夫婦で使っているのです。そんな訳で、恵美がこの家に住んでくれることは真一夫婦にとっても好都合なことでした。

こうして美女二人と真一の同居生活が始まりました。真帆も色白のスラリとした美人で真一の自慢の妻でした。妹の恵美も姉の真帆に劣らない美人で、容姿と仕草に惹き付けられるような色気を感じる女性でした。
真一は美人二人に囲まれた生活を満喫していました。

そんな満ち足りた生活がひっくり返されるような事故が起こったのは2月の末のことでした。

恵美が運転をし、姉の真帆を助手席に乗せて夕方の5時ごろスーパーへ買い物に行く途中で交通事故に巻き込まれたのです。対向車線を走っていた乗用車が突然センターラインを超えて、二人の車に向かって来たのです。
恵美が慌ててハンドルを左に切り、車との衝突は免れたのですが、左の電柱に車をぶっつけてしまいました。二人の車のフロントの左半分が大破し、電柱が助手席に乗っていた真帆の直前に迫っていました。
助手席が思いっきり電柱にぶつかりましたが、運転席の恵美の側は大した破損は有りませんでした。
真帆は意識を失い、ダラリと顔を落としていました。顔面をハンドルにぶっつけた恵美が気丈に(お姉ちゃん、お姉ちゃん)と叫びましたが真帆からは何の反応もありませんでした。

二人とも救急車で救急病院に搬送されましたが、救急病院に着いても真帆の意識は戻っていませんでした。

恵美からのスマホで事故を知らされた真一が診療を終えて救急病院に到着したのは午後8時直前でした。
真帆の意識は戻っていましたが、顔にも足にも包帯が巻かれ、痛々しい限りでした。恵美は軽傷で済んだようで、頬と額の2箇所に分厚いガーゼを当てられ絆創膏で留められていました。

真一を見た恵美が大声で泣き、(ご免なさい・・・ご免なさい)と何度も何度も謝りました。

真帆も恵美ももう一度精密検査をするとのことで、その日は入院することになりました。

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