六本木のママの粋で温かい餞別のページ1

広告代理店の東京本社で営業マネージャをしている小林翔一郎に転勤命令が出たのは3月の中頃でした。

支店長に昇格しての福岡への転勤で、地方勤務は不本意ではあったが会社の命令には従わざるを得ないのでした。
小林翔一郎は数年で東京本社へ戻ってくることを心に誓い、福岡へ転勤することにしたのでした。


小林翔一郎は立場上顧客の接待も頻繁に行わなければならず、当然の如く六本木に行きつけのクラブが出来ていたのでした。

そのクラブにも挨拶をして置かなければと言う思いが小林に働き、最も世話になった得意先の会社の部長をそのクラブで接待することにしたのでした。

このクラブの30代半ばと見受けられるママはなかなかの美人で、170センチはあると思える日本人女性としては長身でスラリとした肢体から滲み出る妖艶さは男を惹き付けて離さない魅力を秘めていました。

今日接待する会社の部長もこのママの容姿にぞっこん惚れ込んでおり、この部長を接待するのには最適なクラブだったのだ。

小林翔一郎もこのママの美貌には惹き付けられ、是非とも抱いてみたい欲望に駆られたりするのですが、接待客と競争する訳にはいかず、いつも自分を抑えてきたのでした。


「えっ、小林さんは転勤しちゃうの?」
小林翔一郎が転勤することになった旨をママに説明するとママは目を丸くして心から驚いた様子を見せました。

「そうなんだよ、小林さんは福岡へ転勤するんだよ・・・小林さんが転勤するのは残念だけど、支店長に昇進しての転勤だから、祝わなければねぇ・・・だけど、小林さんにここへ連れて来て貰えなくなるのが残念だよ・・・」
接待に招待した部長がママの顔を窺いながら残念そうに言いました。

「ほんと、残念ね、今日は歓送会になってしまったわね、飲みましょう、久保田さん・・小林さん・・・」
小林が今日接待している部長の名前は久保田で、ママが久保田と乾杯し、次いで小林とグラスを合わせて乾杯したのでした。


ママが二人の若いホステスを呼び寄せ、久保田と小林翔一郎の間にママが座り、久保田も小林翔一郎の二人とも両サイドを美女に囲われて水割りを楽しんだのでした。

小林が店に来るのも今日で最後になるかも知れないと分かっているママだったが、小林が接待しているのが久保田であることを心得ているママは久保田に気を使うのだった。

今日が最後になると分かっている小林はママともっと親密な関係を維持したいと思ったのだが、接待客と一緒ではそれも叶わず、残念に思うのだった。
が、そんな小林の不満を一気に解消してくれることが起こったのはそれから暫くしてからのことでした。

小林が用意したハイヤーに久保田部長を乗せて見送り、自分はタクシーで自宅に向かっている時にママからスマホに電話が入ったのだった。


「小林さん、あさっての土曜日はお仕事があるの?」
ママの最初の言葉でした。もう3年以上の付き合いになるママとの会話は友達同士のような会話になるのだった。
これがまたママとの近しさを覚え、小林はこんなママとの打ち解けた会話が好きだったのだ。

「いや、土曜日だから何にも無いよ、引越しの準備もも少し先でいいから今度の土曜日は自宅でゆっくり過ごす積りだよ・・」
小林はママから何かの提案があるに違いないと心を躍らせながらありきたりの返事を返したのだった。

「良かったぁ・・・それじゃ今度の土曜日うちへ来ない?うちで小林さんの歓送会をしたいと思ってるんだけど・・都合つかないかしら?」

「えぇ!ママの自宅へ呼んでくれるの?」
思ってもみなかったママの提案に小林は有頂天になった。

「小林さんには随分お世話になったもの・・・少しは感謝しなければ・・是非、うちへ来てよ・・」
ママの心の篭った提案に小林はのぼせ上がった。

「うん、寄せていただくよ、有り難い話だ・・・万難を排して、絶対に行くよ・・・」
「まぁ、大袈裟な言い方・・・でも嬉しい、是非来てね・・」
ママが住所をメールで知らせることを約束してスマホ電話を切った。

ママからすぐメールで住所が送られて来、出来れば昼食も一緒にしたいから12時前には来て欲しいと書かれていた。

小林翔一郎は折り返し11時半には訪問する旨をメールでママに返事をしたのだった。

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