出来心が招いた女高生の悲劇のページ1

今年の4月に名門の女子高校に入学した宮崎沙希に悲劇が始まったのは、衝動的に起こしてしまった万引きが原因だった。
周りに口紅をつけている友達が増え、沙希も口紅が欲しくなり、コンビニでとても気に入ったカラーの口紅を見つけて手に持って品定めをしているうちに悪魔が沙希に囁いたのだった。
沙希は咄嗟にその口紅をブラジャーの下に素早く押し込んでしまったのだ。

沙希はドキドキを押し殺しながらコンビニを出た。店員には見つかっておらず、沙希は店員に咎められることなくコンビニを出ることができた。沙希に罪悪感が湧き上がり、猛烈に押し寄せてくる自省の念に苦しめられたがもう手遅れだった。

店員には見付からなかったが、沙希の行動を目にしていた男が居た。その男、田川泰蔵はエロ本を立ち読みしていたのだが、あまりにも可愛い沙希に惹き付けられ沙希を目で追っていて、沙希が口紅を胸に隠す現場を見たのだった。

「おい、ちょっと待てよ、そこの高校生」
万引きを店員には見つからずホッとしていた沙希が足早にコンビニから離れようとしていた時、後を追ってきた田川泰蔵に呼び止められた。
「私ですか?」
沙希はドキッとして振り返り、店員でないことに一安心しながら小さな声で答えた。
「そうだよ、お前だよ・・・お前、○○高校の生徒だろ・・・」
「そうですけど・・」
頭を角刈りにしたでかい体の泰蔵に威圧され沙希は怯えを覚えた。

「○○高校と言えば名門女子高だろ?そこの生徒が万引きしていいのかよ・・・」
泰蔵の大きくは無いがドスの効いた声に沙希は震え上がった。
「なんですか・・万引きだなんて・・・」
沙希はコンビニの店員に見付かっておらず、隠し通せるとも思ったのだった。
「とぼけるな、お前、今、万引きしたじゃねえか・・」
万引きの現場を誰にも見られてないと自信を持っていた沙希だったが、自信に満ちた泰蔵の声に沙希は奈落の底へ突き落とされるような絶望感に襲われた。
「万引きなんかしてません・・・」
それでも沙希はブラジャーの中に隠していることに一縷の望みをかけて嘘を重ねた。ブラジャーの中までは探さないだろうと沙希は僅かな期待に賭けたのだった。

「ここでは、何だから俺の車に乗れよ、お前も万引きをみんなに聞かれるのイヤだろう・・・」
コンビニの前には車が4台ほど駐車できる小さい駐車場があり、そのうちの一番左に駐車している泰蔵の乗用車の方へ沙希は肩を押された。
万引きを公衆の面前で咎められるのには耐えられないと思った沙希は車に乗らざるを得なかったのだ。もし万引きを見つけられた場合はコンビニの店員でない男に必死に謝って許して貰おうとも沙希は計算したのだった。

「お前、名前は何と言うんだ、○○高校の生徒さんよ・・・」
沙希が車の助手席車に乗ると、運転席に座った泰蔵が聞いた。
「宮崎沙希です・・」
沙希が蚊の鳴くような声で答えた。
「お前万引きしたろ、今、このコンビニで・・・」
「・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
泰蔵が改めて沙希の万引きを口にした。沙希は嘘で固めようとも思うのだが、簡単に出来そうには無く、答えられないのだった。
「俺は見たんだから、お前が万引きするところを・・・胸に隠したろ・・・」
沙希は万引きの現場を見られたことを認めざるを得なかった。確かに口紅をブラジャーの下に隠しているのだ。

「胸に隠すとは、なかなかやるじゃねえか、お前も、このまま警察へ行こうか、警察署で婦警さんにブラジャーの中を見て貰いな・・・」
泰蔵は言って、車をバックで車道へ出し、車を走らせ始めました。

「あのぅ・・・すみません、万引きしてしまいました、すみません・・・」
沙希は車が警察署に向かっていると思い込み、謝って許しを請うことにしたのだった。店員に突き出されるより、警察に突き出されると、両親に知られることは間違いなく、もしかしたら学校に連絡されるかも知れないと沙希は絶望的になるのでした。

「ご免なさい。許してください・・・お願いです」
沙希は必死に泰蔵に頼みました。泰蔵が何とか見逃してくれれば、何とか救われると、沙希は泰蔵が見逃してくれることに期待をかけるのでした。

「やっぱり、万引きしただろう・・・お前のオッパイで口紅が温まっているだろ?」
「ハイ、すみません・・・謝ります。ご免なさい・・・だから、警察だけには・・・お願いです・・・もうしませんから、絶対に・・・お願いです・・・」
泰蔵が警察に向かっていると思っている沙希は必死に泰蔵に謝り、頼み込みました。

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