弟の洋一が大学の4年生に進級した4月に、まだ26歳と若い姉の沙織が離婚して出戻って来たのでした。 沙織は200年以上の歴史を持つ新潟の造り酒屋の一人息子で、東京支店の営業員をしていた28歳の御曹司に見初められ、大学を卒業した翌年に23歳の若さで結婚したのでした。 結婚後約1年間は東京のマンションで新婚生活を満喫していたのだったが、会社の社長をしている夫の俊樹の父親が脳梗塞で倒れて寝たきりになり、会社経営のノウハウを父から吸収すべく新潟に呼び戻されたのでした。 その時から、沙織は自由をかなり制限され、不愉快な日常生活を余儀なくされることが多発し始めたのでした。 中でも沙織の考えを全く無視される不愉快なことは、早く子をもうける事を夫の両親から強く要求されることでした。60歳を過ぎた両親は早く孫の顔を見せろと陰に陽に沙織に要求し、もう数年は夫と二人だけの生活を楽しみたいと願うまだ23歳と若い沙織の考えとは相容れないのでした。 夫の俊樹は両親の考えに同調し、避妊策は一切とらず、毎夜のように沙織の体を求めては精子を沙織の体に注ぎ込むのでした。 まだ子供をもうけたくない沙織は、夫の俊樹にコンドームを着用するように頼むのですが俊樹は聞き入れてくれず、かと言って、セックスを拒むことも出来ず、沙織は悩み続けるのでした。 子供をもうけようとする夫の俊樹の積極的なセックスに沙織の体は性的に開発され、セックスの快感を鋭く感じ、体を求められると体が性の快感を求めて俊樹に抱かれに行くようになっていたのでした。 が、幸いなことに沙織が妊娠する気配は全く現れないのでした。 沙織が結婚して2年が経過しても、沙織が妊娠することはありませんでした。毎回膣内射精でセックスを重ねてきた沙織にも疑念が湧き始めたのでした。 「もしかしたら、私は不妊症なのかしら?それとも夫の俊樹に問題があるのかしら?」 そんな折でした。沙織は義母に呼びつけられ、「沙織さん、あなた不妊症なのね」ときつい口調で言われたのでした。 沙織は衝撃的な義母の言葉に呆然となり、何も答えることが出来ませんでした。 「沙織さん、あなた病院で診てもらったほうがいいわよ、今後の為にも・・・」 義母は沙織が不妊症であることを決め付けるような自信をもったきつい言い方をしました。 「俊樹さんの方には問題は無いんでしょうか・・・・」 子供を産めない欠陥女性のような言われ方に、小さい声ながら、沙織は精一杯の抵抗をしたのでした。 「俊樹に問題がある訳ないよ・・・俊樹は敏子ちゃんを妊娠させたんだから・・・俊樹に問題は無いのよ、沙織さんが子供を産めない体なのよ・・・」 義母のあまりものショッキングな言葉に沙織は気を失いそうになりました。 敏子ちゃんとは会社の事務員で、地元の子で可愛い顔をしたなかなかの美人でした。 夫の俊樹がその敏子ちゃんを孕ませたとは沙織は俄かには信じられませんでしたが、義母の敵対的な自信を持った口調から沙織は義母の話が真のようにも思えるのでした。 「世継ぎが産めない嫁はうちには要らないんだから・・・」 義母の言葉には沙織に離婚を促すようなきつい響きを持っていました。沙織の体がブルブルと震えだし、沙織は抑えることが出来ませんでした。 地獄に突き落とされたようで、突然訪れた悲劇に耐えることができず、沙織は茫然自失の状態に陥ってしまったのでした。 その日の夜まで沙織の混濁した意識は元に戻りませんでした。嫁入り先から絶縁状を突きつけられたようで、夫の俊樹が何と言おうと、このうちではもう暮らせそうにないと沙織は思うのでした。 「お帰りなさい・・・・」 夜の11時過ぎに帰宅した夫を精一杯の勇気を振り絞って沙織が吐いた言葉でした。 今日も敏子に会っていたのかと思うと、怒りと失望のあまり、沙織の体が震えるのでした。が、今日義母から聞いた事を確かめずにはおれないのでした。 「今日、お母さんから言われたの・・・」 何から切り出して良いか迷った沙織がたどり着いた言葉でした。 「何を?何を言われたの?」 義母と夫の俊樹がこの件について話し合っているのか否かは分からない沙織は俊樹の言葉の受け止め方が分かりませんでした。 「世継ぎが産めない嫁はうちには要らないって言われたの・・・」 沙織は俊樹の反応を何一つ見逃すまいと思いながら、俊樹を凝視し続けたのでした。 「えっ!ええっ!母がそんなこと言ったの、酷いことを言うなぁ、母は・・・」 俊樹の驚きようから、この件について俊樹が義母とはまだ話していないと確信できたのでした。 が、もうひとつの大問題は敏子に俊樹の子供が出来ているのか、どうかと言うことでした。 自分が不妊症の女であるとは思いたくない気持ちと、俊樹が敏子を孕ませたことを否定して貰いたい気持ちが沙織の心の中で渦巻いているのでした。 FC2 ブログランキング 人気ブログランキングへ にほんブログ村 |